
「今勤めている会社を辞める時は、どのような手続きが必要なのか」「年金や健康保険の手続きはどう進めれば良いのか」など退職時における手続きに関する不安や疑問って多いと思います。
本ページでは過去3社を退職してきた私自身の経験を元に退職時の手続きに関して以下の流れでご紹介していきます。
本ページを読んでいただく事で、会社での手続きから失業手当・健康保険・年金まで手続きを網羅的に理解をいただくことができます。
手続きを行う前に、図解や解説をお通して体系的に理解できるので、効率的にかつ手続きの無駄を減らすことができます。
一方、全体像を把握しないまま手続きを行うことで、手続きを忘れてしまったり、退職前後のスケジュールを上手く組み立てられないことにつながります。
1. 会社で行うべき手続き3点

会社で行うべき3つの手続きは以下になります。
- 1-1 会社の要求に応じて退職願・退職届を提出
- 1-2 会社から預かっていたものを返却
- 1-3 会社から必要な書類を受け取る
1-1 会社の要求に応じて退職願・退職届を提出
あなたと会社の間で退職交渉が終わり、退社が確定した後でも会社側は退職願や退職届の提出を要求してくる事があります。
退職願や退職届は法的に必要なものではなく、会社側が記録として保管しておくために、提出を求めるケースが非常に多いです。
そのため、会社都合の退職であれば提出の要求に応じる必要はありませんが、自己都合での退職であれば円満退職の為に会社に協力しましょう。
退職願・退職届に関しては、後日アップさせていただく『見本付きでわかりやすい退職届・退職願の書き方』をご覧いただくことで、退職願と退職届のどちらを提出すべきかからそれぞれのマナーに沿った作成方法までを理解いただけると思います。
1-2 会社から預かっていたものを返却
会社の貸与物、所有物であるものは全て返却します。
返却を忘れてしまうと、退職後に会社から連絡が入ったり、最悪のケースだと法的なトラブルに発展してしまう可能性もありますので十分気をつけましょう。
下記、よくある貸与物、所有物の一覧です。

1-3 会社から必要な書類を受け取る
現在の会社を離職した後に、転職先やハローワークから提出を求められる書類です。
必要なものは、退職時に必ず受け取りましょう。

以下、 返却するもの、受け取りものの一覧表です!
【会社に返却するもの9点】
- 身分証明書(社員証やカードキー、ネームプレートなど、社員であることを証明するもの)
- セキュリティカード(ビルやオフィスに入室するために必要なもの)
- 保険証(コピーを取った上で返却)
- 制服(制服や作業服が支給されていた場合のみ返却)
- 名刺(自分の名刺や取引先などの名刺)
- 通勤定期券(会社から定期券を貸与されていた場合のみ返却)
- 書類やマニュアル(あなたが業務時間中に作成したものも含みます)
- 備品類(会社の経費で購入者事務用品や会社の備品等)
- 鍵類(ロッカーやデスクなどの鍵)
【会社から受け取るもの6点】
- 離職票(失業手当の受給手続きをする場合)
- 雇用保険被保険者証(会社が保有している場合)
- 年金手帳(会社で保管している場合)
- 源泉徴収票(退職後に郵送などで受け取ることが多い)
- 退職証明書(退職後に家族の扶養となる場合)
- 健康保険被保険者資格喪失証明書(退職後に、国民健康保険に加入する場合)
2. ハローワークでの手続き:失業手当を確実に受給する全ポイント

退職した後に次の転職が決まっていなかったり、ブランクがある場合はハローワークにて、失業手当の申請が可能です。
失業手当受給は下記のような流れとなっています。
〜失業手当を確実に受給するためのロードマップ〜

それぞれ、退職の段階ごとに詳しく解説いたします。
- 2-1 退職前の準備
- 2-2 退職後の動き方
- 2-3 失業手当を少しでも多く貰うポイント
2-1 退職前の準備
退職前の準備には、次の3つになります!
❶『雇用保険被保険者証』の確認
❷『離職票』を受け取る準備
❸『雇用保険被保険者資格喪失届』『退職証明書』の確認
❶『雇用保険被保険者証』の確認
「雇用保険被保険者証」を受け取っていた場合無くしてないか確認しておきます。
この時、無くした場合は勤務先に再交付の依頼する必要があります。
会社で保管しているケースが多いです。
図:雇用保険被保険者証

❷『離職票』を受け取る準備
「離職票」をもらう方法を勤務先と話し合い決めておきます。
ちなみに、離職票とは社員が退職後10日以内に勤務先がハローワークに手続きし、発行されるものです。通常は郵送で送られることが多いです。
図:離職票


❸「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」の確認
勤務先が「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」を作成するので内容を確かめ捺印します。
退職前の準備は以上です。もし、退職してしまった後であれば元の職場に改めて確認しましょう!
2-2 退職後の動き方
退職補の動き方としては、下記の通りです。
❹ 『離職票』の受け取り
❺ 求職の申し込み
❻ 待機期間
❼ 『雇用保険受給説明会』に出席(❺の手続き後およそ10日後)
❽ 『1回目の失業認定日』に出席(❺の手続き後およそ28日後)
❾ 『2回目の失業認定日』に出席(❼の手続き後およそ3ヶ月後)
➓ 基本手当の受け取り
❹ 『離職票』の受け取り
職場から「離職票-1,-2」を受け取ったら内容を確認します。
特に「離職票-2」に記載されている給与金額や退職理由を確認しておくことをお忘れなく!
2週間経っても受け取れなければ元の職場に確認しましょう!
❺ 求職の申し込み
❹の受取後すぐに下記の書類等を持参し、ハローワークの窓口へ行き手続きを行います。
・離職票-1,-2
・雇用保険被保険者証
・写真(上半身を写したヨコ2.5cm×タテ3cm)1枚
・身分証明書(免許証やパスポート)
・預金通帳(手当ての振込先になる・郵便貯金NG)
・認印
この時、窓口で簡単な質問があり、問題なければ受付完了です。
❻ 待機期間
⑤の手続後7日間は「待期期間」となり、基本手当てを受け取るためにはこの期間職に就かないことが必要です。
❼ 『雇用保険受給説明会』に出席(❺の手続き後およそ10日後)
雇用保険の内容や今後のスケジュールに関する説明をハローワークにて受けます。
そして、手当の受取に必要な「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。
この時、「1回目の失業認定日(本当に失業しているか確認する日)」が指定されます。
❽ 『1回目の失業認定日』に出席(❺の手続き後およそ28日後)
⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」にそれまでの就職活動の状況を記入して提出します。
この時、「2回目の失業認定日」が指定されます。
❾ 『2回目の失業認定日』に出席(❼の手続き後およそ3ヶ月後)
⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」に⑦以降の就職活動の状況を記入し提出します。
この時、「3回目の失業認定日」が指定されます。
➓ 基本手当の受け取り
⑨から5〜7日後、指定の銀行口座に振り込まれます。
また、これ以降は4週間に1回、指定の「失業認定日」に出席、その度に5~7日後手当が口座に振り込まれます。
以上です。
受給期間も定期的にハローワークへ足を運ばなければならないので、ご留意ください!
2-3 失業手当を少しでも多く貰うポイント
こちらで紹介した、失業手当の手続きは転職等が起因する「自己都合」退職の場合のものです。
自己都合退職では失業手当の受給に3ヶ月以上かかってしまいます。
一方で、倒産やリストラなどによる「会社都合」退職であれば「⑥待機期間」終了後すぐに失業手当がもらえ、さらに受給期間も長くなります。
3. 健康保険の手続き:3つの選択肢と手続きの全ポイント

あなたが、退職後すぐに次の転職先へ就職が決まっている場合は次の会社に移行でき、会社が手続きを行ってくれます。
しかしながら、あなたが退職した後にブランクがあったり、就職していない・考えていない場合は下記の3つの手段のいずれかを選び、退職時にきちんと手続きをする必要があります。
❶ 会社の任意継続被保険者となる
❷ 国民健康保険に加入する
❸ 家族の扶養となって、家族の健康保険の被扶養者になる
それぞれの場合の具体的な手続きに関して解説をしていきます。
3-1. 会社の任意継続被保険者となる方法
これは、退職後も在職中の健康保険に継続して加入することです。
あなたが、2ヶ月以上、その健康保険に加入していれば最大で2年間継続で加入する事ができる制度です。
任意継続被保険者となる方法は保険証を勤務先に返却した上で、退職の翌日から20日以内に下記のように協会健保へ行き手続きを行います。

→任意継続被保険者資格取得申出書は以下のようなものになります(参考までに)

ちなみに、保険料は退職前の約2倍となります。
なぜなら、在職中は会社が保険料の半額を負担してくれており、退職と同時にそれがなくなるためです。
3-2. 国民健康保険に加入する方法
国民健康保険は国民皆保険の考えの元、全ての人に門戸を開いています。
反対に、任意継続も家族の扶養も選択しなければ、自動的に加入することになります。
国民健康保険に加入する場合も、速やかに職場に保険証を提出の後、14日以内に下記のようにお住いの市町村区の窓口へ行き、加入手続きを行います。

※健康保険の資格喪失日がわかる証明書は、下記のうちいずれかになります。
・健康保険被保険者資格喪失証明書
・退職証明書
・離職票
3-3. 家族の扶養となって、家族の健康保険の被扶養者になる方法
配偶者等の健康保険の被保険者になるという手段です。
被扶養者になるためには、家族の勤務先に具体的な手順や必要書類を確認してもらった方が良いでしょう!
4. 年金の手続き:状況別にすぐにわかる全てのポイント

まず、年金の加入者は下記のように3つに分けられます。

あなたが会社を退職して、次の就職先までブランクがある、もしくはしばらく働くつもりが無い場合、上の表で第1号被保険者もしくは第3号被保険者にならなければなりません。
ではそれぞれの場合の手続きをご紹介していきます。
4-1. 第1号被保険者となる場合の手続き
退職後、就職せずにフリーターや学生となる場合、自営業を始める場合これに当てはまります。
厚生年金の脱退の手続きは会社が行ってくれますが、厚生年金から国民年金への種別変更手続きは被保険者が行わなければなりません。
下記の通り、手続きを行いましょう!

4-2. 第2号被保険者となる場合の手続き
退職後、別の企業へ就職する場合はこちらに当てはまります。
第2号被保険者となる場合、転職先である会社が手続きを行ってくれます。

4-3. 第3号被保険者となる場合の手続き
退職後、配偶者の被扶養者となる場合等はこちらに該当します。
第3号被保険者となる場合は扶養者である、第2号被保険者の方の会社で手続きを行ってもらえます。
必要書類を第2号被保険者の方が事業主へ提出し、事業主が日本年金機構へ提出します。
下記のように書類を提出して下さい。

健康保険 被扶養者(異動)届は下記のようなものになります。

上記の書類は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
また、下記のように必要書類を添付する必要があります。
①収入要件確認のための書類
所得が基準値よりも低い事を証明する書類です。
ケースによって必要書類が異なるのですが、退職したことで扶養に入る場合以下のいずれかの書類が必要なケースが多いです。
■退職証明書
■雇用保険被保険者離職票の写し
②続柄確認のための書類(被保険者と別姓の被扶養者の場合)
■被扶養者の戸籍謄本など
③同居確認のための書類(被扶養者として認定されるために同居が要件である場合)
■被保険者の世帯全体の住民票
④内縁関係を確認するための書類
■内縁関係にある両人の戸籍謄(抄)本
■被保険者の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)など
扶養となる場合は、まずは退職前から手続きや必要書類について、扶養者の事業主に確認をしておくのが良いです。
理由は下記の2点です。
(1)被扶養者となる方が退職後、退職事業者から年金機構に5日以内に書類を送る必要があり、迅速な手続きを求められる。
(2) 書類の内容や添付書類が複雑でわかりにくい。
5. 最後に…
退職時は、在職中と違ってあなたが能動的に手続きを行う必要がありますが、手続きは年金や健康保険等非常に多岐に渡ります。
本記事や、記事内でご紹介した記事を参考に、一つ一つの手続きを漏れなく行っていただければと思います。
この記事が、あなたの人生の助けになることを心から願っています!


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